大磯中学校の生徒さんからの質問 2021.8.2
3月に伺った大磯中学校の生徒さんからその後お手紙をいただきました。
時間が経ってしまったのですが、頂いたお手紙の質問の中から一つお答えしたいと思います。
Q.私は演劇が好きで自分が演じる時、その世界が目に映るように演じることを心掛けているのですが、
坂本さんは演奏しているとき曲の世界が映っているような感覚に包まれていますか?
どうしたら映るようになってお客さんと共有できるようになりますか。坂本さんの見えている世界が曲のイメージが曲を聞いているとき見えてすごいなぁと思いました。
A.素敵な質問をありがとうございます。曲を通してイメージが伝わっていたこと、とても嬉しいです。
演奏している時、確かに私は自分の音からイメージする世界が実際に見えています。
私の見えている世界が音を通じて伝わっていると言って頂くことも多いですのですが、自分でも正直なところ、どうしてそれが出来ているのかは分かりません。
私が心がけている事は、自分の持っているイメージを楽譜から具体的に想像すること、そしてそのイメージがちゃんと表現できているかよく耳を澄ませて聴くことです。
イメージを作る、想像することは、ピアノを練習しているだけでは得られるものではなくて、色々な出来事を通して身につくものだと思うので、技術を磨きながら様々な経験をして、表現できるパレットを増やすことが大事だと思います。けれど、全てのことを体験できる訳ではないと思うので、映画を見たり、本を読んだり、絵を見たり、様々な媒体を通して自分の引き出しを増やしていく必要があります。
イメージや表現したいものが出来たら、そのイメージを自分の出している音で忠実に表現できているかよく耳を使って聴いて、イメージと実際の音との差を無くしていきます。耳を使って聴く、ということは文字にすると簡単ですが、すごく集中して世界が音と自分の耳だけになるような感覚まで耳を澄ませることはとても難しいことだと思います。
客観的にどう聴こえるか、自分の耳だけでなく人にどう伝わっているのかを確認するために録音をすることもあります。
楽譜から自分のイメージを膨らませて、こんな風な音を出したいと、と緻密に具体的に考えることによって音質の幅が広がり、その音を聴いて忠実に再現することで、人に伝わるようになるのかな、と思います。
ピアノの表現の話になってしまいましたが、演劇でも応用できることがあるのではないかと思うので、少しでも参考になっていたら嬉しいです。演劇頑張ってください、応援しています。